2020.10.05 ピープル&カルチャー
「これは3.11への再挑戦」防災に人生をかけるセールスがJX通信社を選んだわけ
みなさん、こんにちは!JX通信社の採用広報インターン・久木元です。
外に出るのを躊躇するほど暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?私はクーラーの効いたオフィスから出るたびに、ここはサウナだと自分に言い聞かせています。
さて、今回は!
猛暑に負けないくらい熱い思いを胸にJX通信社にジョインした、SaaSセールス藤井さんのインタビューをお届けします。
自治体特有の課題をAIがどう解決できるのかや、公共向け営業活動における独自の工夫などを伺いました。
事前に商談も見学させていただきそこで気になったポイントも含めて質問してきたので、ぜひ読み進めてみてください!
──それでは、最初に自己紹介をお願いします。
JX通信社の公共担当をしています、セールスの藤井です。
営業をしていますが事業開発にも関わっていて、色んな公共団体にFASTALERT(※1)を活用したAI防災の意義を理解してもらうことも仕事の一部です。
※1 JX通信社が展開する、報道前の災害・事件・事故の情報をビッグデータから検知・提供するAIソーシャル防災センサー
3.11を経験して考えた、災害と情報
──これまではどんなお仕事を経験されてきましたか?
まずは新卒で在京ラジオ局に入り、公式SNSの運用などを担当していたのですが、2011年の勤務中に東日本大震災を経験しました。
被害状況の訴えや、「こんな情報が欲しい」といったSNSのメッセージもいっぱい来ました。寝る間もなく返信し続けましたが、限られたスタッフでは、それを分類・分析して放送に反映しきれなかったんです。
どの情報が重要か、その情報が正しいか、見極めきれないから、特に目につくものをとりあげたりしたけれど、それで必要な情報を完全に届けられたかというと違いますよね。
そんな経験を通して、「災害時に必要な情報って、どうやったらきちんと集めて、分析して、届けられるんだろう」と考えるようになりました。
それからしばらく大手のSNS会社で働いた後、またラジオ局に戻って新規事業の立ち上げをやりました。東日本大震災の時にラジオ局にできなかったことをしようと、自治体が自分たちの伝えたい情報を、自分で地元に向かって、放送局の設備から届けることができるシステムを開発したんです。
そのシステムの導入提案をする中で、自治体の予算のやりくりの事情や、防災専従の職員って本当に数人しかいない、といった現実の厳しさを実感しました。
全然人が足りないのに、災害が起きた時には、防災無線の放送、エリアメール、ホームページの更新など全部しなきゃいけないって状態です。この状況で新しい仕事を増やすのは無理だな、と感じました。既存の仕組みとうまく連動して、仕事を増やさずにより的確に情報が届けられる工夫をしたりしていくつかの自治体に導入いただきましたが、もっと根本的な改革が必要だと思いました。
放送局の立場からできることの限界もあって、テクノロジーをもっと生かして自治体の力になりたいと、GovTech(※2)のベンチャーに入ったり、コロナ禍真っ只中で、ベンチャー企業から行政に貢献する道を探っていました。その中で「もう一回防災の仕事ができるかな」と思ってJX通信社に来ました。
※2 Government+Technology=テクノロジーで行政サービスを変革する
──確かに、防災情報を扱うという点でJX通信社はぴったりですね。
そうですね。
JX通信社は労働集約型の報道業界にテクノロジーで変革をもたらしてきた会社ですが、限られた人数で仕事を回さなければいけないという点は、地方の報道機関と地方自治体はとても似ています。
AIを使ってなんとか解決したいと自治体もみんな思っているけど、効果的な使い方が分からない。なので、実際にAIを活用したプロダクトをすでに実用展開している所に来た方が早いよね、と思って入社しました。
FASTALERTが可能にする、自治体の情報収集とは
──藤井さんが営業するFASTALERTは、元は報道機関の情報収集の効率化にフォーカスしたプロダクトですが、自治体に対してはどんな課題に対応できると感じますか?
自治体にとって、防災分野に限らずすべての部門の課題は、「誰にでも扱えるわかりやすさで、大量かつ多様な情報を迅速に整理・可視化すること」です。特別給付金の受付処理でも自治体の情報処理能力が課題になりましたが、災害時、自治体には、カメラ、電話、無線、FAXなど、様々な形で被害状況に関する情報が押し寄せます。
日本の災害ってすごく激甚化してるし、同時多発的に局地的な被害が発生するケースも増えています。また、ひとつの自治体でも色んな災害の可能性を抱えています。例えば私のふるさとの横浜って海もあるけど、山や坂もとても多い。つまり土砂災害も多いんです。地域ごとに細かい課題がある状態です。
加えて、ほとんどの自治体で人口が減少しているので財源も職員の数も減っています。やらなければいけないことが増えてる問題の上に、人が足りない問題があるんです。
人の足りない中で、避難時に優先的に救助が必要な人はどこにいるのかや、実際に災害が起きた現場の状況など、色んな情報を整理しなきゃいけない状態にあります。
でも、自治体職員が自分で見て回ったり、監視設備を事前にたくさん置いたり、あるいは住民に呼びかけて情報を集めるのには限界がある。だから、ビックデータを活用してAIで分析・整理するFASTALERTは、自治体の情報収集力強化へのアプローチとしてリーズナブルだし、効果的だと考えています。
課題解決のシナリオをつくって提案する
──FASTALERTをどうやって活用するのか具体的にイメージしてもらうのは中々難しいと思うのですが、そこはどんな工夫をしていますか?
公共営業ならではですが、自治体では法律に基づいて、地域防災計画をあらかじめつくることが定められているんですよ。だから、それを読めばその自治体にとって今何が防災上の課題なのか全部細かく書いてある。膨大な量ですが、提案前にできるだけ拝見しています。
ただ、その中でFASTALERTが解決できる部分はどこかというのは自分で考えないといけないので、それはヒアリングをしながら理解を深めていきます。
また同時に、続けられるものを提案しなければ意味がありません。だから自治体にとって持続可能なコストで、いつか起きる災害への対策にもなり、かつ他の事業のコスト抑制になったり、平常時にどうやって役に立てていくかまで提案に含めるのがポイントだと思ってます。
それがJX通信社の営業の面白さであり、難しさですね。顧客が感じていたり、気づいていないこともある課題に対して、FASTALERTをこんな風に活用してその課題を解決できますよ、というシナリオをつくってご提案をします。
JX通信社の営業と開発の間に壁はない
──普段の活用体制まで含めた提案をするんですね!売ることがゴールの営業活動とは視点がかなり違う気がします。
それが、私のチームの部署名に「SaaSセールス」とついている理由ではないでしょうか。
なぜわざわざSaaS(Software as a Service)って言うかというと、流行りだから…ではなくて(笑)、「常に改善、進化するプロダクト」を売るというのがSaaS営業なんだと思うんです。
どんどん変化するものを売っているので、顧客に向き合っている私たちセールスは、その顧客の声を聞き続けることが重要になります。それでサービスが改善されてユーザーが増え、さらに新しくサービスを進化させるためのお金が集まる、というサイクルを続けて行かないといけない。
JX通信社に営業と開発の間に壁はないと感じているんです。私自身もサービスの設計に口を出しているし、開発の人たちもこんな顧客に提案したらどうだろうとかアイデアを日々出しているし、そういうコミュニケーションがうまく回っている会社ですね。
──では、営業として働いていても開発の人たちとの距離はあまり感じませんか?
あまり感じないですね。同じフロアで仕事をしているので物理的にも近いし、営業が商談で何をヒアリングしてきたのかに対して開発側が高い関心を持ってくれていると感じています。
──商談を見学させていただいた時、顧客の困りごとに対して「こんな機能つけたらどう思いますか?」と開発面にも踏み込んでいたのが印象的でした。それも普段のコミュニケーションがあるから言えるんでしょうか?
そうですね。ただ、そのためには開発のスケジュールや方向性、仕組みを知らないとできるできないは責任を持って言えないので、そこは入社してから相当聞きまくりました。
これまでの仕事の経験で、AIやビッグデータ、防災について基礎知識があったのはラッキーでしたが、どんな会社に入っても、プロダクトがどうやって動いているのかについてはいっぱい聞いておく必要があると思っています。それに営業としても、そこに興味を持っている人の方が面白い提案ができますよね。
今の仕事は、次に来る震災へのリベンジマッチ
──最後に、藤井さんがJXの営業として目指すことをお聞かせください。
まずは、3.11の時に報道人としてやりきれなかったことを、いつか起きる南海トラフ地震の時に「できる」状態で迎えたいです。JX通信社での仕事は、私にとってリベンジマッチなので!
災害が起きた時、必要な情報は時間の経過によって、また地域によってどんどん変わってくるんです。住民間でのSNS上での情報発信・共有など、共助の取り組みも進んできているけど、限られた時間と人員の中で自治体がそれをすべて把握して、必要な人に再発信できているわけではありません。
FASTALERTならSNSをはじめとするビッグデータから情報を集めて、瞬時にAIで分類・整理して役所に渡すことができる。これが3.11の時に私ができなかった「必要な人に、その場所でいま必要な情報を的確に届けること」を可能にする第一歩だと思っています。
もうひとつは、自治体の職員さんの働き方を少しでも楽にすることです。
災害が起きるたびに役所に緊急参集して待機している職員のみなさんは、役所でしか見ることのできない専用の防災情報システムの前で情報収集に取り組んでいたりすることがあるようです。FASTALERTなら、自宅でスマホから確認することもできます。だから、まずは家でFASTALERTを確認して、より早い、安全なタイミングで招集をしたり、待機を続けたり、といった対応ができるのではないかという提案をしたりしています。
手元のスマートフォンにマスコミ並みの強力な情報収集ツールを安価にご提供できることで、少しでも自治体の職員さんの負担を軽くできるんじゃないか、というのもやりがいを感じる提案です。
──ありがとうございました!
記事では書ききれませんでしが…商談での持ちネタやオフレコ必須のエピソード、学生時代のマンガ研究まで!たくさんの話をしてくださった藤井さん。
きっとこの怒涛の勢いと会話の引き出しで顧客と距離を縮めるんだろうな、と思わされたインタビューでした。
また、防災に対する強い使命感とプロダクトの成長に責任感をもつ姿を拝見し、FASTALERTのさらなる進化を確信することができました!
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