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【JX通信社独自分析】衆院選「考え方診断」データからみる、コロナ対策・多様性への捉え方

10月31日に投開票が行われた第49回衆議院議員総選挙にあたり、JX通信社は、日本テレビ「zero選挙2021」に協力して、全候補者を対象とするアンケートの結果を掲載するサイト「zero選挙2021(衆議院選挙)​​」と「2分でわかる!あなたの考え方診断」(以下、「考え方診断」) を企画・開発しました。特に「考え方診断」は公開から投開票までの約10日間で約130万人以上の方にご利用いただき、メディアをはじめ、各界の著名人などからさまざまなな反響をお寄せいただきました。
衆院選投開票までの間に「考え方診断」を利用したユーザーの回答データを分析すると、ユーザーの年代や性別、利用する時期によって考え方に違いがあることがわかりました。

「2分でわかる!あなたの考え方診断」とは

新型コロナウィルス対策に関する5問と多様性に関する6問に回答いただくことで、両方の軸で他の人と自分の考え方を比べられるサービスです。衆院選立候補者にも同じ設問を含む候補者アンケートへの協力を依頼しており、投票の判断にも役立てていただいたものと考えています。

サービスの開発にあたっては、関西学院大学法学部の善教将大教授に監修いただきました。

ユーザーごとの回答に違いはあったか

まずはユーザー全体の回答のバラつきを見てみます。

最もバラつきが大きかったのは、
 Q. 今後のワクチンの配分方法について、考えはどちらに近いですか。
 A: 人口に応じる形で、全国の自治体に配分するべきだ
 B: 感染拡大地域に優先的に配分するべきだ

という設問でした。A:17%、Aに近い:20%、どちらとも言えない:6%、Bに近い:36%、C:21%と、回答が大きく分かれています。

逆に、最もバラつきが小さかったのは、
Q. 選挙の際にインターネットでも投票できるようにすることに賛成ですか。

という設問。賛成:58%、やや賛成:25%、どちらとも言えない:8%、やや反対:5%、反対:4%で、インターネット投票に反対する人は全体の1割未満でした。また、

 Q. 日本国内への外国人労働者受け入れについて、考えはどちらに近いですか。
 A: 今より積極的に受け入れるべきだ
 B: 今より受け入れを抑制すべきだ

という設問については「どちらとも言えない」に約4割の回答が集中し、こちらもバラつきが小さくなりました。

年代が上がるにつれ、男女の考え方の差は縮小傾向

では、年代や性別などのセグメントによって回答に違いはあるのでしょうか。診断後のページでは、ランダム抽出した1,000件のプロットから年代や性別ごとの違いを読み取ることができましたが、実際のところは、性別・年代ごとにどのような違いがあったのでしょうか。

性別・年代ごとに平均値(左)と中央値をプロットしたのが下の図です。

赤色が男性、青色が女性で、年代ごとにプロットしています。

すべての年代・性別で右上の領域、つまりコロナ対策で制限を重視しながら社会の多様性を重視しているようです。

女性は多様性の軸、男性はコロナ対策の軸で大きく値が動いているのが特徴です。つまり、女性はコロナ対策については世代差が小さいが、多様性については年代が上がるほど認めない方向に、男性は多様性については世代差が小さいが、コロナ対策については年代が上がるほど制限を重視する方向に動いていく傾向にあるということです。

男性女性
多様性世代差が小さい年代上がるほど、否定的
コロナ対策年代上がるほど、制限重視世代差が小さい

注目に値するのは、年代が上がるにつれ、男女の意識差が縮小していることです。20代では女性は多様性重視の傾向、男性はコロナ対策で比較的自由を志向する傾向にありますが、70代では両方の軸でほぼ同じ値になっています。

政治的態度が不明確な層は、多様性重視の傾向あり

回答する時期によっても違いがあるのでしょうか。「考え方診断」は10月20日(水)15:00に公開しましたが、実は診断回数が多かったのは投票日とその直前の週末で、約4割はこの2日間に集中していました。

投開票直前に診断する人と事前に診断する人(=公示直後から選挙に関心を持っている人)の属性の違いを見てみると、性別では、直前になると女性の割合が5ポイントほど増え、

(図)性別

年代別では、直前になると10〜30代の若年層の割合が3ポイントほど増えていたようです。

(図)年代別

これは、選挙ドットコムとJX通信社で毎月行っている調査など各種世論調査で、女性や若年層ほど政治的態度が明確になっていない割合が多いこととも符合します。JX通信社がこれまで行ってきた種々の情勢調査の結果からも、女性や若年層は投開票日直前に投票先を決定する傾向にあると考えられます。

回答の内容における違いはどうでしょう。スコアを比較してみると、コロナ対策については公開〜投開票日直前の間のユーザーと投開票日直前のユーザーでほぼ同じスコアになった一方、多様性については直前のユーザーの方が有意に「多様性を重視」する傾向にあることがわかりました。

回答の内容を見てみても、コロナ対策に関する設問はほぼ同様の回答傾向にある一方、多様性に関する設問では直前のユーザーの方が選択的夫婦別姓やアフターピルの一般販売、同性婚、クオータ制の導入といった施策に賛成する傾向にありました。これは、態度決定の遅い女性や若年層が多様性重視の傾向にあることとも符合する結果です。

投開票日直前のユーザーの傾向
多様性重視する傾向(選択的夫婦別姓、クオータ制など)
年代若年層の比率が上昇(約3ポイント)
性別女性の比率が上昇(約5ポイント)

100万以上のサンプルから貴重な示唆

「考え方診断」を利用したユーザーのデータを分析するだけでも、年代や性別による意識の違い、態度決定の順序など、注目に値する示唆が得られました。ただ、ランダムに対象者を選ぶ世論調査などと違い、サイトを自発的に訪れ行動に至ったユーザーのデータのみを対象としているため、これが有権者の総意であると安易に結論づけることはできません。
とはいえ、政策や政治に対する意識に関する調査で100万規模の”サンプル”を集めたものは珍しく、貴重な示唆であることは間違いないと考えます。

今後もJX通信社は、データインテリジェンスの力を活かし、情勢調査を始めとする政治分野でもさまざまな取り組みを続けてまいります。

※衆院選候補者のアンケート回答ならびにユーザーの回答データについては、用途を選挙報道に限定し、個人情報保護法に基づいて日本テレビとJX 通信社の両社で厳格に管理しています。

■zero選挙2021(衆議院選挙)サイト
https://www.ntv.co.jp/election2021/

■JX通信社情勢調査
https://jxpress.net/survey/

■NewsDigest
iPhone 版 :  https://app.adjust.com/4eaelp8?campaign=20211228
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