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防災・減災・BCP

今後30年以内の発生が懸念される首都直下地震の深刻な想定被害と備えるために事前に導入しておくべき企業における5つの対策

今後30年以内に70%の確率で発生することが推測されている首都直下地震。最悪の場合、約2万3000人の死者が発生し、約95兆円の経済的打撃を与えると考えられており、その発生が危惧されています。

こうした状況の中で日本政府や自治体は被害を最小限に留めるために様々な対策を推進していますが、企業の場合は首都直下地震に備えるためにどのような対策を進めていけば良いのでしょうか。

この記事では企業の防災担当者のために首都直下地震の概要と被害想定、実施するべき対策などを説明していきます。この記事を読むことで首都直下地震における対策のヒントが分かるので、ぜひ参考にしてください。

関東南部で甚大な被害をもたらす首都直下地震

日本の国土面積は全世界の0.28%ですが、変動帯に位置している影響もあり、世界で確認されたマグニチュード6以上の地震の20.5%が日本で発生しています。実際に地震大国とも呼ばれる日本では頻繁に地震が発生していますが、近年は深刻な被害を与える南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が危惧されているのが現状です。

今回は首都直下地震を説明していきますが、首都直下地震がどういった地震なのかイメージが湧かないという方も中にはいるでしょう。首都直下地震(南関東直下地震)とは、東京都や神奈川県などの関東南部で発生することが想定されているマグニチュード7級の巨大地震のことです。

これまで1855年11月11日の安政江戸地震や1894年6月20日の明治東京地震など過去220年間で関東南部を震源地としたマグニチュード7級の地震は過去8回発生しており、これに基づいて今後30年以内に70%の確率で首都直下地震が発生すると考えられています。

しかし、これはあくまでも関東南部のどこかでマグニチュード7級の地震が発生する確率であり、首都直下地震がいつ、どこで発生するのかは正確に把握することは現時点ではできないため、万が一のために日頃から対策を実施しておくことが重要です。

同じく発生が懸念されている南海トラフ地震を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

23万超の死者も想定される南海トラフ地震の恐ろしさと被害を最小限に抑えるために今すぐ実施するべき企業の「備え」

もし首都直下地震が発生した場合の被害想定

首都直下地震が発生した場合はどのような被害が想定されているのでしょうか。万が一、首都直下地震が発生すると、建物崩壊や地震による火災などによって最悪の場合は死者約2万3000人・95兆円の経済被害が想定されています。

この被害想定の季節・時間は冬の18時ごろであり、暖房などの火器器具の利用や帰宅する人々が最も多い時間帯であると推測され、甚大な被害が発生するおそれがあるのです。

また死者2万3000人のうち7割にあたる1万6000人が火災によって命を落とすと想定されています。首都直下地震によって消防の対応力を超えた約2,000件の同時多発火災が発生し、このうち600件は消火が十分にできないことで大規模な火災へ発展すると推測されています。

停電の復旧後も損傷したコードや転倒で可燃物に触れた暖房器具などによって通電火災が発生すると考えられており、これによってさらに被害が拡大するおそれがあるのです。

建物崩壊や火災などの深刻な被害が想定されている一方で、現時点では東京湾の津波は1m以下の高さであると推測されていますが、これは決して津波による被害を受ける心配がないという意味ではありません。

1m未満の高さの津波は津波注意報の対象であり、大きな被害になるとは考えづらいと思う方も中にはいるかもしれませんが、地表標高が海面と同じまたはそれ以下の海抜ゼロメートル地帯では、堤防などが決壊した場合に津波が遡上することで洪水などの深刻な被害が発生するおそれがあるのです。

日本政府が推進する「首都直下地震緊急対策推進基本計画」

前述した被害想定はいずれも最悪の場合で事前に建物の耐震化を進めるなどの対策を行えば、被害を10分の1に留めることができると考えられています。内閣府が発表する「首都直下地震緊急対策区域指定市区町村一覧」で説明されているように日本政府は首都直下地震で著しい被害を受けることが想定されている以下の地域を首都直下地震緊急対策区域指定市区町村に指定し、ハード・ソフトの面で様々な防災対策を推進しています。

  • 東京都(全域)
  • 神奈川県(全域)
  • 千葉県(全域)
  • 埼玉県(全域)
  • 茨城県(一部)
  • 栃木県(一部)
  • 群馬県(一部)
  • 山梨県(一部)
  • 静岡県(一部)
  • 長野県(一部)

また日本政府は公助・共助・自助に基づいて首都直下地震発生時に行政(公助)や企業・個人(共助・自助)が行うべき対応を「首都直下地震緊急対策推進基本計画」で定めています。主な対応は以下のとおりです。

【行政(公助)】
首都中枢機関の業務継続体制の構築、首都中枢機能を支えるライフライン・インフラの維持、膨大な人的・物的被害への対応、耐震化と火災対策、道路交通麻痺対策、避難者・帰宅困難者の対応など

【企業・個人(共助・自助)】
適切な避難行動、一般車両の利用抑制、食料等の防災グッズの備蓄、事業継続計画(BCP)の作成と実行、地区防災計画制度の活用など

首都直下地震に備えるための対策を考える上では、上記を参考にした上で最善の対応を定めていくと良いでしょう。

首都直下地震に備えるために実施しておきたい企業における5つの対策

では発生が懸念されている首都直下地震に備えるためには、具体的にどのような対策を実施しておけば良いのでしょうか。この章では首都直下地震を想定した企業の主な防災対策を説明していくので、特に企業の防災担当者はぜひ参考にしてください。

BCP・防災マニュアルを策定しておく

首都直下地震が発生した場合に事業と従業員を守るためには、BCPや防災マニュアルを策定しておくことが必要不可欠です。BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などのリスク発生時に事業の継続または早期復旧を図るための対応を事前に定めた計画のことです。

万が一、BCPや防災マニュアルが策定されていないまま、災害などのリスクが発生すると混乱が生じて適切な対応がとれないことで、被害が拡大してしまうおそれがあります。

また首都直下地震では企業活動が長期間停止するなど想定外の事態へ発展するおそれがあるため、ライフラインや交通インフラ、サプライチェーンなどの被災状況を十分に考慮し、その悪影響を最小限に留めるための対応を定めておく必要があります。

もちろんBCP・防災マニュアルを1度策定しただけでは本当に機能する防災対応になっているとは限らないため、定期的な訓練で従業員に対応を浸透させつつ、内容を見直していきましょう。

今回は簡易的な紹介となりましたが、策定方法など詳しくBCPや防災マニュアルを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

コロナ禍でBCPが重視される理由と策定する上でのポイント
防災マニュアルの効果的な作り方と防災に必要な2つの対策

1週間分以上の防災グッズを確保する

首都直下地震が発生するとライフラインや交通インフラなど甚大な被害を受け、復旧が長期化するおそれがあるため、従業員が安全に避難生活を送れるようにあらかじめ食料等の防災グッズを確保しておきましょう。

一般的に水道・ガス・電気のライフラインや人命救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われていますが、避難生活が長引くことを想定して1週間分以上の防災グッズの備蓄が望ましいです。

企業の場合は、2011年の東日本大震災で約515万人の帰宅困難者が発生し、様々なトラブルを招いたことを機に東京都帰宅困難者対策条例などによって防災グッズの確保と一時的な帰宅の抑制が求められています。

【東京都帰宅困難者対策条例条例17号】
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します

現時点ではこの条例を破ったことに対する罰則を設けられていませんが、企業には労働契約法第5条によって従業員に対する法的な安全配慮義務が課せられています。

【労働契約法第5条】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする

万が一、防災グッズを用意しなかったことが原因で従業員が被害を受けると、安全配慮義務違反として損害賠償金を支払う必要があるので、経営資源の1つである従業員が安全に過ごせるように防災グッズを確保しておくと良いでしょう。

詳しく防災グッズの種類などを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

Withコロナで備蓄が不可欠な防災グッズの現状とその基本

具体的な帰宅困難者対策を定める

首都直下地震では、東京都だけで約517万人の帰宅困難者が発生すると推測されており、これは東日本大震災で発生した帰宅困難者数を超えています。無理に帰宅困難者が帰宅しようとすると建物の倒壊や火災に巻き込まれたり、人命救助の妨げになったりするなどのリスクが発生するおそれがあり、きちんと対策しなければ帰宅困難者となった従業員が被害者にも加害者にもなるリスクがあるのです。

またコロナ禍の現在では集団感染を防ぐために避難所における避難者同士のフィジカルディスタンス(身体的距離)の確保を目的に避難所の収容人数を減らし、自宅や知人宅、ホテル・旅館など様々な場所へ分散して避難する分散避難が推奨されています。

首都直下地震発生時にコロナ禍の状況が続いているかどうかは現時点では誰にも分かりませんが、損失を最小限に防ぐためにはあらゆる状況を想定した対応を定めておくことが必要不可欠です。

災害はいつどこで発生するのか分からず、「その頃にはワクチンがあるはずだから大丈夫だろう」「きっとなんとかなるだろう」と根拠がないまま楽観的に考えて十分に対策せずにいると、もし予想外のタイミングでリスクが発生した場合に取り返しの事態へ繋がりかねません。備えあれば憂いなしです。そのため、万が一の事態を想定して、ウィズコロナ・アフターコロナにおける帰宅困難者対策を明確にしておくことを推奨します。

例えばウィズコロナではオフィスでの集団感染リスクを防ぐためには帰宅困難者となる従業員の数を減らすことが重要なので、テレワークやフレックスタイム、ローテーション勤務の導入によって普段からオフィスで働く従業員を減らしておくと良いでしょう。

またウィズコロナ・アフターコロナであっても、帰宅困難者となった一部の従業員を安全のためにオフィスに一時的に滞在させることには変わりないため、防災グッズの備蓄が重要です。

安否確認の手段を確保しておく

前述したように首都直下地震のおおよその発生タイミングは推測されているものの、正確にいつどこで発生するのかは現時点では分かりません。場合によっては休日や従業員のテレワーク中などに発生するおそれがあるため、迅速に安全を確認できるように安否確認の手段を用意しておきましょう。

電話やメールで十分だと考えている方もいるかもしれませんが、東日本大震災で確認されているように災害発生時は安否確認で電話回線が輻輳状態に陥ることで通信規制が実施され、一時的に利用できなくなるケースも珍しくありません。

災害発生時は災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板を活用するほか、万が一のために備えて、インターネットブラウザなどどのような場所でも操作できる法人向けSNSなど安否確認の手段を複数確保しておくと良いでしょう。

また安否確認の担当者を1人に絞ってしまった場合、もし担当者が被災すると迅速に安否確認できない可能性があるため、安否確認の担当者は別の地域に住む方を複数選定しておくことが望ましいです。

詳しく災害発生時における安否確認の手段を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

BCPで安否確認が最重要な理由とその基礎知識

オフィスに安全対策を施す

首都直下地震発生時に被害を最小限に抑えるためには、オフィスなどの建物が崩れず、火災が発生しないことが重要です。国営東京臨海広域防災公園が発表する「首都直下地震への備え 地区防災計画について考える」で説明されているように日本政府が推奨している建物の耐震化対策や感震ブレーカーの設置、火災対策の強化などを行うと以下のように被害を軽減できると考えられています。

  • 耐震化率が100%になった場合:揺れによる全壊棟数が約9割減少
  • 感震ブレーカーの設置など電気関係の出火防止を行なった場合:焼失棟数が約5割減少
  • さらに初期消火成功率向上が図られた場合:焼失棟数が約9割減少

オフィスで火災が発生した場合、消防に通報しても到着までにタイムラグが空くため、火の拡大を防ぐために自分たちで初期消火を行う必要があります。そのため、定期的な防災訓練の実施によって、全従業員の誰もが迅速に初期消火を行えるように訓練しておくことが重要です。

また帰宅困難者が一時的にオフィスに留まるのはオフィスが安全であることが前提となりますし、二次被害を防ぐためにもオフィス自体に安全対策を実施しておきましょう。耐震対策や感震ブレーカーの設置のほか、効果的な安全対策は以下のとおりです。

【キャビネットなどを固定しておく】
下敷きや転倒による負傷を防ぐためにキャビネットなどは壁になるべくつけ、突っ張り棒などで固定する。オフィスの中央にキャビネットなどを設置する場合は、安全のために腰までの高さのタイプを選ぶ

【PCやコピー機などのOA機器を固定する】
落下や転倒による負傷を防ぐためにジェルマットやバンドなどで固定する

【窓などに飛散防止シートを貼っておく】
割れたガラス片による負傷を防ぐために窓やガラス製のドアなどに飛散防止シートを貼っておく

【避難経路を確保する】
オフィスの出入り口付近や非常階段に荷物や家具を置かず、スムーズに避難できるようなレイアウトを心がける

詳しくオフィスの安全対策を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

オフィスが行うべき防災対策の基礎知識と災害別の対策方法

企業を守るために!地震など幅広いリスクを収集・分析するFASTALERT

自然災害などのリスクによる被害を最小限に抑えるためには迅速にリスク情報を把握しておく必要があり、万が一リスク情報の確認が遅れると初動対応の開始が遅くなるため、被害の拡大へつながるおそれがあります。

しかしリスクには自然災害だけでなくシステム障害、事故など多くのリスクがあり、被害を抑えるために多くのリスクを収集しようとすればするほど、人的・時間的コストがかかりますし、人の目ではどうしても必要なリスク情報の取り漏らしが発生してしまいます。

では、どのようにリスク情報をスムーズに収集していけば良いのでしょうか。近年、人的・時間的コストをかけずに様々なリスク情報を迅速に収集するために企業や自治体でFASTALERTなどのAI緊急情報サービスが導入されています。

BCPや防災対策などを目的としてすでに全ての民放キー局や大手報道機関、一般企業、自治体で幅広く導入されているFASTALERTは次の4つのメリットがあるため、迅速なリスク情報の収集と初動対応を開始することができるのです。

【FASTALERTの4つのできる】
・災害などのリスク情報がAIによってほぼリアルタイムで検知できる
・報道ではカバーしきれない地域などの細かい情報も入手できる
・1つのサービスで自然災害、事故、事件など幅広いリスクを調査できる
・現地に行かなくてもテキスト、映像、写真で状況が把握できる

迅速なリスク情報の収集は事業の被害を抑えるための初動対応を開始する上では必要不可欠なので、リスク情報の収集をスムーズに行いたいとお考えの担当者さまは、ぜひFASTALERT基本紹介資料から資料をお申し込みくださいませ。

【サービス資料で分かる3つの内容】
・これまでFASTALERTが検知した主なリスク情報一覧
・業種ごとのFASTALERTの活用シーン
・現在ご利用いただいている企業さまのレビュー

FASTALERTは、企業・自治体のお客様専用のサービスとなります。
※ソーシャルリスクレポートなどその他の資料は、こちらの資料ダウンロードからご覧ください。

最後に

今後30年以内に70%の確率で発生が推測されている首都直下地震ですが、正確にいつどこで発生するのかは分からないので、被害を最小限に抑えるためには平時からあらゆる状況を想定した対策を実施しておくことが重要です。

日本政府や自治体で様々な対策が進んでいますが、企業も自助・共助に基づいて、どのような対応が最善なのかを改めて考えていきましょう。

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