JX通信社

防災・減災・BCP

線状降水帯は暴れ川と呼ばれた筑後川(支流含む)をどのように変えたか?

線状降水帯が7月3日〜4日にかけて九州南部(熊本県・鹿児島県)を襲った記憶も覚めやらぬまま、今度は6日〜10日にかけて九州北部(長崎県・佐賀県・福岡県・大分県)を襲った。

大きな被害が出た1つが、阿蘇山を水源として九州地方北部を熊本・大分・福岡・佐賀の4県を流れ有明海に注ぐ筑後川沿いの自治体だ。まるで線状降水帯に沿うように、東から西へと水が流れる。

ちなみに筑後川は流路延長143.0キロメートル、流域面積約2,860平方キロメートルの河川で、規模としては九州地方最大の河川である。ちなみに河川名が、田の原川、杖立川、大山川、三隈川、筑後川と実に5回も変えるのが特徴だ。

筑後川の特徴は支流(他の河川に合流する河川)の数だ。

筑後川に合流する支流の数は239河川に上る。九州地方の河川では第2位の大淀川水系をおよそ100河川も上回り群を抜いている。つまり、その分だけ流れ込む水の量も多く、その分だけ氾濫も危険性も高い。

日本三大暴れ川の1つに数えられる筑後川は、過去に何度も氾濫を起こした。直近では平成29年7月九州北部豪雨が記憶に新しい。

そして令和2年7月に発生した豪雨で、筑後川水系周辺の自治体では、どのような被害が発生したか。河川付近に住む熊本・大分・福岡・佐賀4県に住む住民が、SNS上でその状況を写真や動画で伝えている。

7月6日9時〜

甚大な被害が出た福岡県久留米市では、7月6日の24時間降水量が271.0mmを記録するほどの豪雨だった。10時16分には久留米市に大雨警報も発令され、ちなみに警報は2日後の8日10時45分まで解除されなかった。

SNSへの投稿から、猛烈な雨の勢いがうかがえる。特に河川と田んぼが一体化する光景は、雨の勢いが増すとよく見られる光景だ。福岡県朝倉市では13時台には降水量が58.0mmを記録した。これは気象庁によれば「非常に激しい雨」「滝のように降るイメージ」ほどだという。

雨の勢いは全く衰えず、筑後川の支流である大肥川や池町川沿いで「危険」「限界」という言葉が飛び出した。また宝満川では、誤って人が川に落ちる事故が発生したらしく、その状況を伝える投稿も見られた。

7月6日14時〜

大雨の影響で、各地で冠水被害の報告だけでなく、河川の氾濫を知らせる報告が相次いだ。浮羽究真館高校は直ぐ近くを巨瀬川が流れているが、排水が追いついていない可能性も窺える。

7月6日16時30分には大牟田市、八女市、みやま市、広川町に対して大雨特別警報が発令された。

また各地で冠水による「行き止まり」が発生したと報告が相次ぎ、筑後川や支流の推移が上がっていることを知らせる投稿も数多くあった。中には排水口からぶくぶくと水が逆流している投稿もあり、雨水が本流にはけずに溢れてしまう「内水氾濫」が各地で起きていると考えられる。

7月6日18時〜

雨の勢いは止まらない。支流の赤谷川は、護岸の復旧工事にも関わらず、雨が多くを流してしまった。他にも、下弓削川、山ノ井川、東合川の氾濫に関する情報が寄せられた。

また、久留米市や筑後市からは市中の浸水報告が多く集まった。街全体が水に埋もれてしまうかのように、各地で内水氾濫が相次いだと推察される。

7月7日7時〜

一晩降り続いた大雨は、筑後川の上流にある玖珠川を氾濫させた。その影響で日田市を中心に、浸水被害だけでなく、各地で通行止めが相次いだ。

中には、河川にかかる橋そのものが水の勢いによって下流に流されたことを窺わせる投稿もあった。これは先日の九州南部豪雨でも見られた光景だ。

同じ頃、福岡県朝倉市では雨が全く止まず、道路はもはや「川」と化していた。各地で内水氾濫を起こし、水が全く引かず、なんとか車で移動するのがやっとの状況に見える。

中でも、筑後川に沿って旅館が並ぶ原鶴温泉界隈では、筑後川そのものの氾濫可能性を伝える投稿が見られた。また、その下流に位置する久留米市の久留米大学病院近くの筑後川の様子が撮影され、水嵩がギリギリまで高まっていることが伺えた。

7月7日11時〜

この時間帯になり、雨はいったん小康状態(小振り)になる。気象庁の気象データでは、福岡県南部で13時〜16時台はほとんど降水を観測していない。しかしながら、市中の水は水位をほぼ保ったままだ。中には、水嵩が増田した地域もあったようだ。

これは筑後川本流・支流問わず水の勢いが衰えなかったこと(特に上流の日田市などで発生していた豪雨の影響もあるだろう)と関係があるかもしれない。

筑後川の上流・中流に位置する夜明ダムの状況を撮影した投稿もあった。さらに上流に位置する三隈川は、大規模な土砂を巻き込んでいることを彷彿とさせる色をしている。船の残骸とも言うべき「何か」も写っている。

また、豪雨がひいた影響もあってか、消防団の活動を知らせる投稿が各地で相次いだ。

7月7日14時〜

特定の河川においては水嵩が多少下がったのか、あるいは少なからず陽の光が顔を覗かせたからか、自身の無事と周囲の安全を願う投稿が増えた。

また、ようやく水が引いた市中を歩く人が一定数いたようで、水によって排水溝に流されてしまった車を投稿する人も相次いだ。

一方で、雨の勢いが全く衰えないが大分県日田市天ヶ瀬だ。10時台に1度雨が上がったと思ったら、再び12時台には降水量22.5mmを記録するなど不安定な天候が続いた。

7月7日18時〜

そして、再び久留米市周辺では雨が降り始めた。量自体は少ないが、これまで降り続けた豪雨の影響で、河川や近くの用水路・排水口はすぐに氾濫したようだ。

バックウォーターとは、下流の水位の変化が上流の水位に影響を及ぼす現象だ。本流側と比較して支流の降雨量が少ない場合、支流は増水した本流に流れをせき止められてしまい、その結果、水が逆流してしまう。河道が狭い支流の水位は急激に上昇し、堤防の決壊につながる恐れもある。

7月8日6時〜

大雨から2日経過したにも関わらず、冠水した地域がなかなか水が引かない状態が続いた。断続的に降り続く雨だけでなく、九州北部の広範囲に大雨の被害が出ている等の影響が原因だという。

7月10日12時〜

6日〜7日にかけての豪雨からまもなく、再び久留米市、みやま市など福岡県南部を豪雨が襲います。結局、明け方11日まで雨は降り続き、三度冠水被害が発生しました。

線状降水帯の恐ろしさ

70個以上の写真・動画を通じて、(支流含む)筑後川の氾濫と、排水口からの内水氾濫などの被害を見てきました。線状降水帯によって街は一変し、「湖」になったかの如く水で溢れました。改めて、線状降水帯がもたらす被害の大きさに胸を締め付けられる思いでいっぱいです。

今回は、決まった箇所で内水氾濫が発生するという投稿もあれば、こんなこと初めてだという投稿もありました。間違いないのは、相次ぐ大雨特別警報によって「こんなこと初めて」はいつ初めてになってもおかしくない、ということです。

明日来るかもしれない災害のために、どのような「備え」があるでしょうか。その「備え」は、これまでご覧になられた豪雨に本当に有効でしょうか。

また、河川の画像を多めにご紹介しましたが、実際には内水氾濫に関する投稿も多くありました。JX通信社では緯度経度付きの情報も多数保有しており、学術研究に関しては条件付きで無償にてデータを共有することも可能です。詳しくはこちらからお問い合わせください。

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