JX通信社

防災・減災・BCP

最初の3分が最重要な初期消火とスムーズに初期消火を行うための鉄則

事業だけでなく、近隣の住宅などにも甚大な被害を及ぼす火災。出火を確認次第すぐに初期消火を行なって火災の拡大を防ぐことが重要ですが、スムーズな初期消火を行う上でどういった点に気をつければ良いのでしょうか。

今回は企業の防災担当者や防火管理者のために火災による被害や初期消火の手順、迅速な初期消火を実現するためのポイントなどを説明していきます。この記事を読むことで初期消火の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。

火災が企業に与える深刻な被害

火災は人為的要因または自然現象によって引き起こされますが、人為的行為が原因になることが多いため、災害の3種類(自然災害・人為災害・特殊災害)の中では人為災害に分類されています。

総務省消防庁が発表する「令和元年版 消防白書」によれば、平成20年から出火件数や火災による死者数はおおむね減少傾向にありますが、火災が発生した場合はどのような被害が発生するのでしょうか。

火災が発生すると従業員の生命を脅かすほか、オフィスなどの建築物や設備が損傷することで最悪の場合は一時的な操業停止とそれに伴う顧客離れにつながるリスクがあるのです。

またそれだけではなく企業側の「重大な過失」により近隣の家屋や他社のオフィスに延焼して被害を与えてしまった場合は、賠償責任を問われるおそれがあります。

日本には「失火ノ責任ニ関スル法律(通称:失火責任法)」という法律があり、軽過失による失火の場合は延焼などを引き起こしても賠償責任を問われません。しかし、この法律が適用されるのは、あくまでも軽過失のみであって、重大な過失があった場合は賠償責任を負い、負傷者や死傷者が出た場合は業務上過失致死罪に問われるリスクがあります。

また債務不履行における賠償責任の場合も失火責任法が適用されません。例えば企業が借りているテナントで火災が発生し、他のテナントにも延焼してしまった場合は借主の原状回復の義務によって元の状態に戻す必要があり、賠償責任を免れることができないのです。

火災の原因を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

有効な火災対策と命を守るために覚えておきたい火災の基本

被害状況を左右する初期消火と被害を最小限に抑えるための手順

消防署に連絡しても到着までに平均7〜8分のタイムラグがあるので、万が一、オフィスや工場などで火災を発見した場合は、自社や近隣への被害の拡大を防ぐために自分たちの力でいち早く初期消火を行わなければなりません。

初期消火はまだ火の小さい3分以内が鍵であり、この時間内で初期消火を行えれば、火の拡大を阻止・遅延できるため、最小限の被害に留めることにも繋がります。

しかし無理に初期消火を続けることは禁物であり、火の発見の遅れなどによって天井にまで火が燃え広がってしまった場合は自分たちの力だけでは対処が難しいので、安全のためにすみやかに避難をすることが重要です。

では初期消火はどのような手順で開始すれば良いのでしょうか。初期消火には以下の3原則があり、スムーズで効果的な初期消火を目指す上ではこの手順を参考にすると良いでしょう。

【①大声で知らせる】
出火を確認したらすみやかに大声や非常ベルで火災の発生を周囲に知らせ、小さな火でも直ちに消防署に通報する

【②初期消火をする】
小さな火でも複数人で初期消火を行う。消火器や水だけでなく、座布団なども使って最大限の努力で初期消火をする

【③早く逃げる】
天井に火が達した場合は、燃えている部屋の窓やドアを閉めて空気を遮断し、すみやかに避難する

また消防署への通報、周囲への呼びかけ、初期消火は同時に行う必要があるため、スムーズに対応できるように、あらかじめ訓練などで初期消火の役割分担をしておくことが大切です。

避難する際は煙を吸い込まないように姿勢を低くし、ハンカチやタオルで口・鼻を覆いましょう。火災発生時に火と並んで怖いのが、煙です。火災の煙には無味無臭の一酸化炭素が含まれており、吸い込むと一酸化炭素中毒によって頭痛やめまいなどを発症し、吸い込み続けると失神や中毒死に繋がってしまうおそれがあります。

火災では一酸化炭素中毒で失神したことが原因の焼死や逃げ遅れたことで煙を吸い続けたことによる一酸化炭素の中毒死も非常に多いため、可能な限り煙を吸い込まないようにしましょう。

迅速な初期消火を実現するために行うべき2つの対応

初期消火の重要性やその手順を説明しましたが、スムーズに初期消火を行う上ではどういった点を心がければ良いのでしょうか。この章ではスムーズな初期消火を実現するための鉄則を説明していくので、ぜひ参考にしてください。

消火器の使い方など初期消火の対応を全従業員が把握しておく

火災が発生したら僅かな遅れが被害の拡大へつながるおそれがあるため、迅速に対処するために誰もが初期消火をできるようにしておく必要があります。そのため、消防訓練などで消火器や屋内消火栓の使い方などを全従業員にきちんと浸透させておきましょう。

消防訓練には、主に消火訓練・通報訓練・避難訓練の3種類があり、企業の防火管理者が作成した消防計画に基づき、防火管理者の指導のもとで定期的に実施しますが、火災発生時は何が起こるのか分からず、事前に定めた担当者が不在の場合も想定されるため、複数の代行者を選んでおくか、訓練のたびに役割を変更することで誰もが対応できるようにしておくことが望ましいです。

不特定多数の方が利用する劇場やホテルなどの特定用途防火対象物は年2回以上、工場や事務所などの非特定用途防火対象物は定期的な消防訓練の実施(実質的に年1回以上)が義務付けられており、きちんと実施しなければ防火管理業務の不履行として刑事責任を問われるリスクがあるため、必ず計画に基づいて開催しましょう。

消火器や防災設備の点検

火災発生時にきちんと消火器や防災設備が機能しなければ、被害の拡大へ繋がってしまうおそれがあるため、防災設備などの日頃の点検を欠かさずに行いましょう。消火器などの消火設備の点検も防火管理者による定期的な点検が義務付けられているものの、主に外見上から判断できる日常点検に留まっています。

そのため、安全を確保するために定期的な機器点検などを消防設備士または消防設備点検資格者に任せると良いでしょう。ただし、以下の条件のいずれかに当てはまる場合は、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が義務付けられています。機器点検は6ヶ月に1回、総合点検が1回と定められています。

  • ホテルや病院など1,000平方メートル以上の特定防火対象物
  • 工場や事務所など1,000平方メートル以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  • 屋内階段(避難経路)が1つしかない特定防火対象物

企業と従業員を守るために導入するべきそのほかの防災対策4選

初期消火のほかにも企業と従業員を守るためには様々な防災対策を実施しておかなければなりません。この章では火災対策をはじめとした様々な防災対策を説明していくので、企業の防災担当者はぜひ参考にしてください。

BCP・防災マニュアルを策定しておく

消防計画を策定しておくほか、万が一、オフィスなどで火災などが発生した場合に備えて企業と従業員を守るためにBCPと防災マニュアルを策定しておきましょう。BCPとは、災害や事故などのリスクが発生した場合に被害を最小限に抑えて、事業継続または早期復旧を図るための計画のことです。

BCPや防災マニュアルにはリスク発生時の対応をあらかじめ明確に定めておきますが、もし策定していない状態でリスクが発生すると混乱が生じることで適切な対応ができず、対応が遅れることで被害が拡大してしまうおそれがあります。また1度の策定で完成度の高い内容になるとは限らないため、定期的に行う訓練の中で本当に機能しているのかを確認して、対応を見直すことが重要です。

詳しくBCPや防災マニュアルを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

コロナ禍でBCPが重視される理由と策定する上でのポイント
防災マニュアルの効果的な作り方と防災に必要な2つの対策

電気火災・通電火災に注意する

電気火災や通電火災を防ぐための対策を事前に実施しておきましょう。電気火災とは、湿気を吸収した埃が漏電・発火するトラッキング現象や地震によって可燃物が暖房器具に当たることなどが原因で発火する火災のことです。

通電火災は、停電から電気が復旧した際に倒れた暖房などの電気器具に可燃物が触れていたことで発火する現象であり、これらは以下の対策によって十分に防ぐことができます。

  • 地震の揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーの導入
  • 電源タップの使用可能電力は守る
  • ひび割れやコード部分に折れがある電源タップは買い換える
  • トラッキング現象を防ぐため定期的な清掃やコンセントカバーをつけるなどの工夫をする

オフィスに安全対策を施す

阪神・淡路大震災などで確認されているとおり、地震によって火災が発生するケースが多いですが、倒れた暖房などの電気器具や家具などの転倒によって損傷した電源コードに可燃物が触れていたことが原因で火災へつながっている傾向があるため、前述した電気火災・通電火災対策だけでなく、物が倒れないようにすることも極めて重要です。

そのため、火災対策だけでなく地震発生時にも言えることですが、オフィスへ二次災害を防ぐための安全対策を施しておきましょう。耐震補強のほかに気軽にできて効果的な安全対策は以下のとおりです。

【キャビネットなどを固定しておく】
転倒による負傷や電気器具への損傷を防ぐためにキャビネットなどはなるべく壁につけて、突っ張り棒やL字金具で固定する

【感震器(耐震自動消火装置)搭載の暖房器具を選ぶ】
倒れた場合に自動的に電源が切れる感震器搭載の暖房器具を選び、電気火災・通電火災の発生を防ぐ

【避難経路を確保する】
火災などの災害発生時にすみやかに避難できるように出入り口や廊下などの避難経路付近には、物を置かない

詳しくオフィスの安全対策を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

オフィスが行うべき防災対策の基礎知識と災害別の対策方法

防災情報などのリスク情報を収集する

災害発生時に被害を少しでも軽減するためには、可能な限り正確で迅速にリスク情報を収集した上で、直ちに初動対応を開始しなければなりません。また地震による震災火災であった場合は広範囲にわたって被害が発生するおそれがあるため、リスク情報の収集状況を正確に把握することが重要です。

リスク情報の収集手段はテレビやラジオ、自治体の防災情報など様々ですが、近年は個人だけでなく自治体や企業でSNSを使ったソーシャル防災が活用されています。

SNSには発生したばかりの事象がほぼリアルタイムで投稿されているだけでなく、現地の状況がテキスト・映像・写真で分かるため、近年はテレビやラジオと肩を並べるほどの影響力を持っており、報道機関も取材のために利用しているほどです。

しかし、災害発生時には特に悪質なデマや誤った情報も拡散されやすいという大きな課題を抱えているのが現状であり、SNSに投稿されたリスク情報は鵜呑みにする前に裏付けを取らなければなりません。

ただ、人による分析だけでは正誤の判断にどうしても時間がかかりますし、SNSには大量の情報が投稿されていくため、必要な情報の取り漏らしが発生してしまうという新たな欠点が生じてしまいます。そこで近年は人的・時間的コストをかけずに様々なリスク情報を迅速に収集するために企業や自治体でFASTALERTなどのAI緊急情報サービスが導入されています。

BCPや防災対策などを目的としてすでに全ての民放キー局や大手報道機関、一般企業、自治体で幅広く導入されているFASTALERTは次の4つのメリットがあるため、迅速なリスク情報の収集と初動対応を開始することができるのです。

【FASTALERTの4つのできる】
・災害など“報道前”のリスク情報がAIによってほぼリアルタイムで検知できる
・報道ではカバーしきれない地域などの細かい情報も入手できる
・1つのサービスで自然災害、事故、事件など幅広いリスクを調査できる
・現地に行かなくてもテキスト、映像、写真で状況が把握できる

Twitterをはじめとした様々な場所から“報道前”のリスク情報を検知・分析し、サービス利用者に提供しています。

例えばFASTALERTでは2019年9月5日の京急脱線事故を事故発生から1分後に第1報を検知・サービス利用者に情報提供していましたが、これはテレビの報道よりも1時間15分ほど早かったことが分かっています。

報道で知れば良いと思う方もいるかもしれませんが、事象の発生から報道までに大きなタイムラグが空きますし、当事者の場合はこのリスクの把握と初動対応の遅れによって被害が拡大してしまうおそれがあるのです。

リスク情報の収集をスムーズに行いたいとお考えの担当者さまは、ぜひFASTALERT基本紹介資料から資料をお申し込みくださいませ。

【サービス資料で分かる3つの内容】
・これまでFASTALERTが検知した主なリスク情報一覧
・業種ごとのFASTALERTの活用シーン
・現在ご利用いただいている企業さまのレビュー

FASTALERTは、企業・自治体のお客様専用のサービスとなります。
※ソーシャルリスクレポートなどその他の資料は、こちらの資料ダウンロードからご覧ください。

最後に

初期消火は最初の3分が重要だと言われており、被害の拡大を防ぐために天井に火が燃え移ってしまうまでは自分たちの力で初期消火や周囲への呼びかけなどに集中しなければなりません。

周囲のオフィスや近隣の住宅に延焼が拡大してしまうと取り返しのつかない事態に陥ってしまうおそれがあるため、適切な火災対策を導入した上で誰もが的確に初期消火を行えるようにしておくことが大切です。この機会にどういった対応が最善なのかを社内でよく検討しておくと良いでしょう。

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FASTALERTでは、無料でサービスを体験できるデモ版をご提供しております。

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