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防災・減災・BCP

防災対策としての保険が大切な理由と代表的な6種類の保険

きちんと防災対策を事業所に導入していても、大規模な災害によって深刻な被害を受けると事業の復旧までに多大なコストが発生してしまうおそれがあります。

そんな場合に備えて防災に関する保険に加入しておくと安心ですが、具体的にどのような保険を選べば良いのか分からないという方も少なからずいるはずです。

今回はそんな方のために防災対策としての保険の基礎知識やその種類、その他の効果的な防災対策などを説明していきます。

この記事を読むことで事業の内容に合わせた適切な保険に加入できるようになるので、ぜひ参考にしてください。

防災対策としての保険がリスクヘッジになる理由

地震や台風などの災害に備えて事前に保険に加入しておくと良いでしょう。

SOMPOリスクケアマネジメント株式会社が調査した「平成28年度自然災害時における中小企業の事業継続に関する調査事業報告書」によれば、自然災害による被災時に損害保険・共済制度に加入していた企業は66%、未加入の企業が34%でした。

損害保険・火災共済に未加入の理由は、主に以下の3つです。

  • 災害には遭わないと思っていた 39%
  • 保険料・掛金が高かった 30%
  • 加入を検討していなかった 24%

※515社を対象にSOMPOリスクケアマネジメント株式会社がアンケート調査を実施

災害はいつどこで発生するか分からず、想定よりも深刻な状況になるおそれがあります。

場合によっては被害を受けた事業の復旧コストが賄えずに倒産へつながる可能性があるため、復旧費用などを補償してくれる保険の加入が重要です。

また近年は複数の災害がほぼ同じタイミングで発生する複合災害が多発しているため、1つの災害だけではなく幅広い災害による被害を補償してくれる保険に加入しておきましょう。

ここでは簡易的な紹介となりましたが、さらに詳しく複合災害を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

複合災害のおさえておきたい基礎知識と実践的な対策方法5選

想定するべき3種類の災害

防災対策で加入するべき保険ですが、その種類によって補償の対象となる災害は様々です。そのため、どのような災害が存在するのかを把握しておきましょう。

災害は、自然災害・人為災害・特殊災害の3種類に分類されています。それぞれの詳細は、以下のとおりです。

【自然災害】
異常な自然現象によって引き起こされる災害のこと。地震、台風、洪水、豪雨、高潮、土砂崩れなどが含まれる

【人為災害】
①都市災害
火災、騒音、大気汚染、水質汚濁など
②労働災害(産業災害)
メンタルヘルスなど労働が原因となって従業員が負傷したり、疫病にかかったりする災害
③交通災害
車や船舶、飛行機などの事故
④管理災害
機械の操作ミスや計画の不備、管理の怠慢などで起こる災害
⑤環境災害
水質汚濁など環境破壊が要因となって引き起こされる災害

【特殊災害(CBRNE災害)】
①Chemical(化学)
有害化学物質の漏洩や化学兵器によるテロなど
②Biological(生物)
生物兵器によるテロや病原体のパンデミックなど
③Radiological(放射性物質)
放射性物質の漏洩や原子力発電所の事故など
④Nuclear(核)
核兵器を使ったテロ
⑤Explosive(爆発)
事故やテロによる爆発

上記のように災害と一口に言っても、様々な種類があります。自然災害や人為災害はまだしも特殊災害は起こり得ないと考える方もいるかもしれません。

しかしChemicalに分類される一酸化炭素中毒やBiologicalに含まれるインフルエンザの集団感染は日本でも頻繁に発生しているので注意しておきましょう。

災害の特定においてリスクマネジメントが重要

どのような災害が自社で発生するのかを特定するために、きちんとリスクマネジメントを行いましょう。

リスクマネジメントとは、事業を脅かすリスクを特定し、事前にその影響を回避または最小限に抑えるためのプロセスのことです。

リスクマネジメントを行なっていないと適切な防災対策や対応を定められないことで、被害が拡大してしまうおそれがあるため、きちんと実施しておきましょう。

リスクマネジメントの手順は、以下の4ステップです。

【リスクマネジメントの4つの流れ】
①リスクを特定する
自社にどのようなリスクがあるのかを徹底的に洗い出す。1人に任せるとリスクが偏ってしまうため、各部署から集めた複数人で行う
②リスクの分析・評価
発生する可能性が高い、または発生時の影響が高いという2つの観点から優先的に対処するべきリスクを決めていく
③リスク対応を行う
リスクによる影響を最小限に抑えるための対応を具体的に決める
④定期的に見直す
定期的に内容を見直し、必要に応じて発生するリスクやその対策を改善していく

ここでは簡易的な紹介となりましたが、さらに詳しくリスクマネジメントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

知って得するリスクマネジメントの必要性と効果的な進め方

防災対策として使える6つの保険

保険に加入した方が良いことは分かっていても、どのような保険に加入するべきか悩んでいる方も多くいるはずです。ここでは災害による損害を補償する主な保険の種類を紹介していきます。

火災保険

火災保険とは、火災などで建物や家財に損害が生じた場合に補償してくれる損害保険です。

名前のイメージで火災による損害のみが対象となると思っている方もいますが、実は対象となる災害は幅広く、火災保険の種類によっては火災の他に以下6つの災害が含まれています。

  • 落雷
  • 水害
  • 風災
  • 爆発
  • 家財の盗難 など

火災保険の補償の対象には建物と家財の2つがあるため、必ず建物と家財の両方が対象となるように火災保険に加入しておきましょう。

例えば建物を対象にした火災保険に加入した場合、家財に損害があっても家財の補償はされません。

地震保険

地震保険とは、火災保険ではカバーできない地震・津波・噴火が要因となる火災や損害などを補償する損害保険です。

火災による被害を受けた場合でも、その火災が地震が要因となって発生したものであれば、火災保険では補償されないため、地震保険に加入しておくと良いでしょう。

地震保険は「地震保険に関する法律」に基づいて、政府と民間損害保険会社が共同で運営しているため、どの地震保険を選んでも保険料や補償内容に違いがないというメリットがあります。

ただし、住居および家財が対象なので店舗・事務所併用住居以外の事業所は対象外となり、支払わられる補償金額も最大で火災保険の50%というデメリットもあります。

そのため、火災保険+地震保険だけでなく、他の保険にも加入しておきましょう。

※火災保険とセットで加入する仕組みとなっているため、地震保険単独で加入することはできません。

自動車保険

自動車保険とは、自動車の利用で発生した損害を補償する保険です。自動車保険は個人が任意で加入する保険だと考えている方もいますが、法人向けの自動車保険も用意されています。

加入する場合は、契約者・記名被保険者・所有者には、全て同じ法人名を書きましょう。

例えば記名被保険者に従業員の個人名を記載した場合、法人ではなく個人での加入になってしまうため、注意してください。

タクシー会社や物流会社はもちろん、営業の外回りで自動車をよく使う企業は加入しておくと良いでしょう。

医療保険

医療保険とは、医療機関の受診で発生した医療費を補償する保険です。医療保険は経営者や従業員が対象となり、従業員に対する福利厚生の一環としてもアピールすることができます。

医療保険に限りませんが、保険は主契約と特約の2つが用意されています。

基本的に医療保険は、病気や負傷などで入院もしくは日帰り入院をした場合に医療費を補償する契約となっているため、内容に不足がある場合は特約を付帯すると良いでしょう。特約には主に以下の3種類があります。

【災害入院特約】
自然災害や事故などで入院した場合に日数に応じた給付金を支払う特約
【災害割増特約】
自然災害や事故によって死亡したり、重度の傷害を負ったりした場合に通常の保険料のほかに割増で保険料が支払われる特約
【傷害特約】
身体に傷害を負った場合にその度合いに応じて保険料が支払われる特約

医療保険の主契約は基本的に災害が対象となっていない場合が多いので、主契約をよく確認した上で上記の特約を付帯させておきましょう。

労働者災害補償保険(労災)

労働者災害補償保険とは、従業員が労働を起因として負傷したり、疫病にかかったりするなどの労働災害が発生した場合に給付金を支払う保険のことです。

通常の保険とは異なり、正規・非正規問わず従業員を1人でも雇っている場合、加入が義務付けられています。

主な労災保険の内容は以下の5種類です。

【療養補償給付】
業務中・通勤中に負傷したことで、療養が必要な場合に支払われる
【休業補償給付】
業務中・通勤中の負傷が原因で療養が必要になり、労働することができず賃金が発生しない場合に支払われる
【障害補償年金】
業務中・通勤中の負傷が治癒した後で、障害等級1級〜7級の障害が残った場合に支払われる
【障害補償一時金】
業務中・通勤中の負傷が治った後で、障害等級8級〜14級の障害が残った場合に支払われる
【傷病補償年金】
業務中・通勤中の傷病が療養から1年6ヶ月経過した後も、治っていない・傷病による障害が傷病等級に該当する場合に支払われる

また、労働災害が発生した場合はすみやかにこの労働者災害補償保険に申請することが義務付けられています。

労働者災害補償保険に届け出ない、労働災害の発生自体を隠蔽するなどは立派な犯罪となるため、よく注意しておきましょう。

企業財産包括保険

企業財産包括保険とは、建物や動産だけでなく企業を取り巻く様々なリスクを補償する保険のことです。

建物や設備の損傷はもちろんのこと、被災から復旧するための費用や事業の中断で得られなかった利益なども補償しています。

また企業財産包括保険には食中毒によって業務用の通貨や預貯金証書等の盗難や災害によって借用していた事業所などの損害賠償金を補償する特約が揃っています。

そのため、事業の内容に合わせてどの特約を付帯させるのかをよく考えましょう。

防災対策という観点で考えると、この企業財産包括保険が最も強い味方となりますが、多くの場合、地震や噴火、それに伴う津波は対象外となります。

こちらの保険だけでなく火災保険・地震保険にも加入しておくと良いでしょう。

保険以外に導入するべき防災対策6選

ここまで防災に関する保険の基礎知識とその種類を解説しましたが、保険だけでなく、そのほかの防災対策の導入も怠らないことが重要です。

ここでは災害による被害を最小限に抑えるための防災対策を説明していくので、ぜひ参考にしてください。

BCP・防災マニュアルを策定する

あらかじめ災害発生時の対応を定めたBCP・防災マニュアルを作成しておきましょう。

BCPとは、災害や事故など企業におけるリスクが発生した際に事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。

このBCPを導入していないと災害発生時にパニックに陥ることで冷静な判断がとれず、迅速な事業の復旧ができないおそれがあります。

また従業員に適切な行動や判断を浸透させるためには策定したBCP・防災マニュアルの内容に沿った防災訓練などを定期的に行う必要がありますが、訓練終了後は必ず内容を振り返って見直すことが重要です。

このように定期的にBCP・防災マニュアルを改善していくことでより効果的な内容に近づいていきます。

さらに詳しくBCP・防災マニュアルを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

BCPの基礎知識と導入するべき理由を分かりやすく解説

防災マニュアルの効果的な作り方と防災に必要な2つの対策

防災グッズを確保しておく

大規模な災害によって従業員が帰宅困難者になる場合もあるため、事前に防災グッズを用意しておくと良いでしょう。

一般的に水道・ガス・電気のライフラインの復旧や救急隊の救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われています。

復旧が長引くことも想定して、3日分を最低限とし、余裕を持って1週間分の防災グッズを揃えておきましょう。

また2011年の東日本大震災で首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生したことをきっかけに内閣府は「東京都帰宅困難者対策条例」を発表しました。

この条例の第17号では以下のように企業に対して防災グッズの備蓄を求めています。

『事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します。』

対象となるのは正規・非正規を問わずに同じ事業所で働く全従業員であり、可能であれば全従業員分の防災グッズを用意しておくと良いでしょう。

この条例に書かれている努力義務とは、「〜するよう努めなければならない」という意味合いであり、違反してもこの条例に対しての罰則を受けることはありません。

ただし企業には「労働契約法」の第5条によって以下のように従業員に対する安全配慮義務が課せられています。

『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする』

準備で発生するコストが惜しいからと防災グッズを一切用意しないことが原因で、従業員が被害を受けた場合、安全配慮義務違反として法的責任を問われ、その従業員に損害賠償を支払わなくてはなりません。

そのため、従業員を守るために可能な限り防災グッズを確保しておくと良いでしょう。

ここでは簡易的な紹介となりましたが、用意するべき防災グッズの種類や量などを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

揃えておきたい防災グッズの基本と必要な防災グッズ18選

安否確認サービスを導入する

災害はいつどこで発生するのか分かりません。従業員が事業所付近ではなく取引先などの出先で災害に巻き込まれてしまうおそれがあるので、従業員の状況を把握するために安否確認サービスを導入しておくことが重要です。

この安否確認には従業員の無事を確認することはもちろん、事業の復旧作業で出社できる従業員が何人いるのかを把握するという重要な役割があります。

安否確認の手段として電話やメールがあるから問題ないと考えている方もいるかもしれません。

しかし、2011年の東日本大震災では震災直後に安否確認で電話とメールの利用が急増したことで輻輳状態に陥り、一時的に機能しなかったため、別の安否確認の手段を用意しておきましょう。

例えば電話・メール以外の安否確認の手段には、主に以下の3種類があります。

  • TwitterなどのSNS
  • LINEなどの連絡アプリ
  • インターネットで利用する安否確認サービスなど

また安否確認サービスを事業所内のみで利用できるようにしてしまうと災害に巻き込まれた際に迅速に対応できない可能性があります。

そのため、どのような場所でも操作できるように端末を複数用意したり、数人の安否確認の担当者を選任すると良いでしょう。

より詳しく安否確認を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

BCPで安否確認が最重要な理由とその基礎知識

的確な情報収集を行う

災害発生時に的確な対応を行うためには、迅速で正確な情報収集が必要不可欠です。

情報収集の手段にはテレビやラジオなど様々ですが、近年は個人間だけでなく自治体や企業で以下3つのメリットがあるSNSが注目を集めています。

  • 発生した事象をリアルタイムで把握できる
  • 報道ではカバーしきれない細かい情報も収集できる
  • 災害発生時でもインターネットが繋がれば使える

ただしSNSではデマ情報や誤った情報も拡散されやすいというデメリットがあり、人海戦術では情報の見極めが難しく、どうしても情報の取り漏らしが発生してしまうのです。

この課題をクリアするためにデマや誤った情報の収集・発信が許されない報道機関などの企業や自治体は、FASTALERTなどのSNS緊急情報サービスを導入しています。

SNS緊急情報サービスはAIがSNSに投稿された情報をリアルタイムで自動的に収集・解析し、正確な情報のみをサービス利用者に提供する仕組みです。

近年、企業や自治体がSNSで情報収集を行う上では決して欠かせないサービスとなっているため、導入を検討すると良いでしょう。

二次被害を防ぐ安全対策を実施する

災害発生後の二次被害を最小限に抑えるため事前に事業所内に安全対策を施しておきましょう。事業所内で簡易的に行えて効果のある主な安全対策は、以下の3種類です。

【家具やOA機器を固定する】
転倒による負傷を防ぐためにキャビネットなどの家具はなるべく壁につけて、突っ張り棒などで固定しておく。
またPCやコピー機などのOA機器も同一の理由で、ジェルマットやバンドで固定する。

【窓ガラスなどに飛散防止シートを貼る】
割れたガラス片による負傷を防ぐために窓ガラスやガラス製のドアなどには、飛散防止シートを貼っておく。

【レイアウトを工夫する】
スムーズに避難できるように出入り口など避難経路付近には、家具などを置かない。
また事業所の中央に家具を置く場合は、腰までの高さの商品を選ぶ。

2001年に発生した歌舞伎町ビル火災では、唯一の避難経路であった非常階段が物置代わりにされていたため、荷物が邪魔となって避難できず44名の方が亡くなられました。

同じ状況に陥らないように、日頃から事業所内が安全かどうかをよく確認しておきましょう。

ハザードマップを確認する

ハザードマップで事業所付近にどのような災害のリスクが潜んでいるのかを事前に調べておきましょう。

ハザードマップとは、災害の被害状況や範囲を予測し、安全な避難場所・避難ルートを記載した地図のことです。

ハザードマップは水害など災害の種類別に用意されており、国土交通省や自治体のHPで詳細を見ることができます。

また前述しましたが、近年は複合災害が頻繁に起きており、必ずしもハザードマップで指定されている避難場所・避難ルートが安全だとは限りません。

そのため、複数のハザードマップを確認し、2箇所以上の避難場所・避難ルートを選んでおくと万が一の際も安心です。

まとめ

今回は防災対策で保険が役立つ理由とその種類、その他の防災対策などを説明しました。最後にもう1度おさらいすると、本記事の重要なポイントには以下の3点があげられます。

  • 保険は災害による深刻な被害を受けた際のリスクヘッジになる
  • 企業を取り巻くリスクを把握するためにはリスクマネジメントが重要
  • 防災対策としての保険は企業財産包括保険が最も役立つ

この記事を参考にし、災害に備えて事業の内容に合わせた保険に加入しましょう。

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