JX通信社

防災・減災・BCP

予想以上に大変だった段ボールベッド体験レポート

TKBや新型コロナウイルス対策の一環として自治体などに普及が進んでいる段ボールベッド。

しかし、強度面が気になるなど段ボールベッドがよく分からず不安な方も中にはいるでしょう。

今回はそんな方のためにTKBと段ボールベッドの基礎知識や弊社JX通信社での段ボールベッド体験レポートなどを解説していきます。

この記事を読むことで段ボールベッドの基本が分かるので、ぜひ参考にしてください。

避難所で推奨されているTKB

日本における従来の避難所では、不潔で数が足りないトイレ、冷たいままの食事、床での雑魚寝という負担の大きい生活が避難者に強いられているケースが多く、このストレスが※災害関連死に繋がる場合もあるのです。

※災害関連死とは、災害による直接的な被害によって亡くなるのではなく、避難生活での持病の悪化や適切な治療が受けられずに間接的に亡くなることです。

この状況を改善するために一般社団法人避難所・避難生活学会がTKBの浸透を避難所に求めているのが現状です。

TKBとは以下のトイレ・キッチン・ベッドの頭文字をとった言葉であり、避難所の災害関連死や生活にかかる負担を低減させるためにはTKBの対応が必要不可欠であるとしています。

【T(トイレ)】
清潔で十分な数のトイレ

【K(キッチン)】
栄養バランスを考えた温かい食事

【B(ベッド)】
低体温症を防ぐ簡易ベッドなどの整備

NHKが発表する『「人道的な避難所設営と運営を」(視点・論点)』で語られているように、日本と同じく地震大国であるイタリアでは、このTKBが徹底されており、48時間以内にテントや簡易ベッド、仮設トイレ、食堂を準備しなければならないと法律で定められているのです。

これを実現するためにイタリア政府はもちろん、市民同士のサポートも盛んに行われていますが、なぜイタリアでTKBがここまで浸透しているのでしょうか。

原因の1つとして1980年に発生したイルピニア地震で震災による死者よりも避難生活での死者の方が多かったことがあげられます。

普及が進む避難所の段ボールベッド

近年は前述したTKBの一環として自治体などで段ボールベッドの需要が高まっていますが、段ボールベッドにはどのような効果があると考えられているのでしょうか。

具体的な段ボールベッドの効果は、主に以下の4点です。

  • 空気の層があるため、暖かく、低体温症の防止になる
  • 床からの飛沫感染リスクを低減できる
  • 足音や振動が伝わりづらくなることで睡眠の質を改善できる
  • 使い捨て可能で、簡易ベッドよりもコストが抑えられる

時事ドットコムニュースが発表する「段ボールで避難所3密回避 仕切りやベッドに―コロナ対策」で説明されているとおり、新型コロナウイルス感染者による飛沫(ウイルスを含んだ水分)が埃に付着して床に残留するケースもあるので、飛沫感染リスクを低減させるためには、床での雑魚寝ではなく、高さのあるベッドの使用が望ましいとされています。

また十分に段ボールベッドの数がある場合は、使い捨てできるため、新型コロナウイルス対策で使用されることが多いアルコール消毒液の節約にも繋がるのです。

JX通信社の段ボールベッド体験レポート

ここまでTKBと段ボールベッドの基礎知識を紹介しましたが、使用感が気になるという方も少なからずいるでしょう。

そんな方のために今回は、実際に弊社JX通信社で段ボールベッドを試してみました。

まずは届いた箱を開封し、段ボールベッドの中身を確認しました。商品にもよると思いますが、今回の場合はガムテープなど必要な品が全て揃っています。

何も準備せずとも段ボールベッドを組み立てられるため、物資が不足するケースもある避難所などで非常に助かるでしょう。

付属する中身を確認したところで、説明書通りに段ボールベッドを組み立てていきます。

切れ込みの入った段ボールの底面にガムテープを貼って、段ボールの内部に付属する段ボールの補強材を差し込んでいきます。

段ボールベッドの組み立てにややスペースが必要だと感じましたが、コロナ禍における避難所では避難者同士のフィジカルディスタンス(身体的距離)を十分に確保するために収容人数を半減させる必要があり、自宅や知人宅、ホテル・旅館など様々な場所へ避難する分散避難が推奨されているのが現状です。

そのため、必要となるスペースも問題ないと推測されます。

2種類の補強材を1セット差し込み終わりました。このように十字型に補強材を差し込むことで十分な強度を保つ構造になっています。

基本的には裏返して使用しますが、反転しない状態であればこの空間を小物入れとしても使うことができるようです。

避難所では利用できるスペースが限られているため、きっと役立つでしょう。

組み立てた段ボールベッドを裏返してカバーを乗せれば完成です。筆者を含む2人で組み立てましたが、慣れていない作業であったためか完成までに20分ほどかかりました。

個人差はあると思いますが、1人で組み立てる場合はもう少し時間がかかるかもしれません。

負傷していないなど、健康な避難者は自分で段ボールベッドを組み立ててもらうケースが多いと推測されますが、高齢者や妊婦の場合は避難所の運営スタッフが組み立てる必要があると考えられます。

計算上、2人のスタッフで100個の段ボールベッドを組み立てるとなると33時間、20人のスタッフでも3〜4時間かかります。

また今回の段ボールベッドは縦86cm・横46cmですが、組み立て作業ではそれ以上のスペースが必要となり、1つの段ボールベッドを組み立てるのに最低でも周囲に1.5m以上のスペースが必要になると考えられるのです。

もちろん、運営スタッフは他の対応もこなす必要があるため、全ての段ボールベッドを事前に組み立てておくことは現実的ではありません。

健康な避難者には段ボールベッドを自分で組み立ててもらい、高齢者や妊婦などのためにある程度の数は避難所の運営スタッフ側で事前に組み立てておくなどの工夫をすると良いでしょう。

完成したところで、早速、段ボールベッドを複数人で試眠してみます。実際に試眠する前は耐久面が不安でしたが、体重約80kgの方が試しても問題ありませんでした。

身長約178cmの方が試すと頭がはみ出てしまいましたが、横になっている最中はあまり気にならなかったようです。

また実際に試眠したところ、段ボールベッドは予想以上に暖かかいことが分かりました。

今回は試しませんでしたが、枕や毛布を使えばより快適になると考えられます。

使い終わった段ボールベッドは、上記のように片付けられます。筆者の身長は約162cmですが、腰より少し上の高さに収まっており、あまりスペースはとりません。

ガムテープを剥がすなど組み立てる前の状態に戻せばさらにコンパクトになりますが、ガムテープによって段ボールが少し傷んでしまうため、今回は行いませんでした。

避難所では避難者が来る前には事前にある程度の数の段ボールベッドを避難スペースで組み立てておき、想定よりも避難者が多く訪れた場合は、避難者が来るたびに段ボールベッドを備蓄スペースから持ってきて組み立てる必要があると考えられます。

普通の段ボールでお手製段ボールベッドを作ってみた

物資の不足などが原因で避難所で段ボールベッドが一時的に手に入らなくなったり、避難者に段ボールベッドが行き渡らないケースも十分に想定されます。

そこで筆者たちは通常の段ボールでも段ボールベッドを作成できるのか実験してみました。

今回はどのような場所でも比較的に手に入りやすい一般的な120サイズの段ボールを15枚用意しました。

市販されている前述した段ボールベッドと同じ要領で段ボールの底面にガムテープを貼っていきます。

先ほど紹介した段ボールベッドの大きさを参考にして、サイズを調整しました。今回は10枚の段ボールをベッドとして使います。

先ほどの段ボールベッドとの違いは、こちらの段ボールには補強材用の切れ込みが入っていないことです。

補強材が入っていないと体重でつぶれてしまう可能性が高いため、ハサミで2枚の段ボールを切って中に入れました。

全ての段ボールに補強材代わりの段ボールを入れたら、ガムテープで閉じていきます。

余った3枚の段ボールをカバー代わりに乗せて完成です。

こちらも筆者を含む2人で作成しましたが、補強材としての段ボールをハサミで切るという作業があったため、所要時間は30分ほどかかりました。

計算上、2人のスタッフで100個の段ボールベッドを組み立てるとなると200時間、20人のスタッフでも10時間かかります。

今回も複数人で試眠しましたが、お手製段ボールベッドは補強材などの問題で少したわみやすく、長期的な使用はあまり推奨できないと考えられます。

またお手製段ボールベッドから起き上がる際にほんの少し表面がへこんだことを感じました。

そのため、補強材として使う内部の段ボールもさらに置き方を工夫する必要があると推測されます。

通常の段ボールで段ボールベッドを作成する場合は、あくまでも段ボールベッドが不足しているなど緊急時に行うと良いでしょう。

まとめ

今回はTKBとその一環で普及している段ボールベッドの基礎知識、段ボールベッドの体験レポートなどを紹介しました。本記事の重要なポイントには次の3点があげられます。

  • 避難生活での災害関連死やストレスを低減させるために避難所でTKBが求められている
  • TKBや新型コロナウイルス対策の一環として段ボールベッドの普及が進んでいる
  • 通常の段ボールを使ったお手製段ボールベッドは強度面で不安が残るため、緊急時での作成が推奨できると考えられる

この記事を参考に段ボールベッドの理解を深めましょう。

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